糖尿病性神経障害 看護学生嘆きの部屋

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    糖尿病性神経障害






    糖尿病性神経障害

     糖尿病は、全身の血管を障害する血管病であり、網膜症(注1)、腎症、神経障害、末梢血管障害などを来たす。
     糖尿病の神経障害では、小径線維(冷感、灼熱感、痛みを伝導する、感覚線維)の方が障害を受け易い。
     
     葉酸、ビタミンB12などの、ホモシステイン値を低下させるサプリメントは、糖尿病性神経障害(糖尿病網膜症)の発症リスクを、低減させる。

     1.糖尿病性神経障害
     1).有痛性神経障害(painful neuropathy):夜間に左右対称性・遠位性に、激しい灼熱感を伴う自発痛(熱い砂の上を裸足で歩く感じ。足底部に強い。布団にわずかに触れたでけでも強い痛みを感じる)と、異常感覚(しびれ、熱感)が増悪する(Naチャネルを介するNaの流入が原因?)。
     2).知覚鈍磨による足の問題:痛覚が鈍感になり、傷に気付くのが遅れる。
     3).自律神経障害:めまい、たちくらみ、便秘、下痢、胸焼け、げっぷ、排尿傷害、インポテンスなど。

     糖尿病性神経障害で、大径線維が構成する、運動神経が障害されることは、稀。

     2.糖尿病性神経障害の臨床的特徴
     1.感覚障害が優位
     2.下肢の障害が優位で、上肢の障害は軽い
     3.振動覚が早期から障害される
     4.下肢の腱反射が早期から低下する
     5.眼筋麻痺をしばしば生じる 
     6.自律神経障害をしばしば伴っている
     (日医雑誌、特別号、糖尿病診療マニュアル、S49の表2を参考に作製した。)

     糖尿病性神経障害により、末梢神経が障害され、知覚が鈍磨になると、外傷や感染を自覚するのが、遅れる。
     糖尿病の高血糖状態では、好中球(多核白血球)の細胞質内に、ソルビトールが蓄積し、細胞機能、特に、殺菌能が低下する。糖尿病でも、1型糖尿病では、好中球の殺菌能が、低下する。

     3.糖尿病性神経障害の発症機序
     糖尿病性神経障害は、代謝障害や血管障害が成因で、発症する。

     a).代謝障害
     糖尿病では、高血糖の為、細胞内グルコース濃度が増加し、その結果、ポリオール代謝経路が亢進し、細胞内ソルビトール濃度が、増加し、神経組織に蓄積する。
     細胞内に蓄積したソルビトールは、浸透圧作用により、細胞に浮腫を生じさせる。
     神経組織に蓄積したソルビトールは、イノシトールを低下させ、神経細胞膜のNa+/K+-ATPase活性を低下させ、末梢神経の軸索が変性し、電気的刺激伝導が、遅くなる。

     糖尿病では、糖化蛋白(終末糖化産物:AGEs)の産生が、増加する。ミエリン蛋白が糖化されると有髄深海の機能や形態が障害される。

     b).血管障害
     血管障害により、神経内鞘の虚血や、血管収縮因子が上昇し、血流(血行)が低下し、神経線維が、脱落する。

     グルコースからソルビトールが生成され、補酵素としてNADPHが消費される。血管内皮細胞から産生される血管弛緩因子NO(一酸化窒素)も、アルギニンからの産生にNADPHを要する。その為、ソルビトールが生成されると、NADPH消費を競合するNO産生が障害され、神経血流が低下したり、活性酸素が増加し、酸化ストレスが増強する。

     なお、糖尿病性網膜症(糖尿病網膜症)は、糖尿病による高血糖の為、血中に飽和脂肪酸が増加し(高中性脂肪血症)、血小板粘着能が亢進し、網膜の血流が低下し(血行が悪くなる)、毛細血管閉塞や、点状出血が起こり、網膜症を発症する。
     また、糖尿病性腎症は、糖尿病による高血糖の為、血中に飽和脂肪酸が増加し(高中性脂肪血症)、血小板粘着能が亢進し、網膜の血流が低下し、酸素不足の為、腎糸球体が硬化し(腎糸球体硬化症)、腎症を発症する。

     糖尿病では、毛細血管が障害される。
     糖尿病の特徴的な病理変化として、毛細血管(微小血管)の基底膜(血管内皮細胞と実質細胞との境界)が肥厚する。
     糖尿病で見られる、毛細血管の基底膜の肥厚は、(高中性脂肪血症により)血小板粘着能が亢進し、血流が低下し(血行が悪くなる)、毛細血管の微小循環障害が起こり、酸素不足になるのが、原因と想定されている。

     糖尿病での毛細血管障害(糖尿病性細小血管症)は、毛細血管の基底膜が肥厚するのが特徴。
     コラーゲンは、ブドウ糖(グルコース)とガラクトースが、ヒドロキシリジンと結合した糖蛋白。
     糖尿病では、コラーゲンが糖化(グリコシレーション)され、糸球体基底膜、血管、末梢神経の糖化コラーゲンが、正常者に比し、2~3倍増加し、肥厚する。

     4.糖尿病性神経障害とポリオール代謝経路
     ポリオール代謝経路では、グルコースが、アルドース還元酵素により代謝され、ソルビトール、更には、フルクトースが生成される。
     グルコース(ブドウ糖)-(アルドース還元酵素:AR)→ソルビトール-(ソルビトール脱水素酵素:SDH)→フルクトース(果糖) 

     インスリンは、GLUT4(心筋、骨格筋、脂肪脂肪細胞に発現)の発現を増加させ、細胞内へのグルコース(ブドウ糖)の輸送(取り込み)を増加させる作用がある。
     インスリンの作用によらず、グルコースが受動的に流入する細胞では、グルコースが、ポリオール代謝経路により、ソルビトールやフルクトースに代謝され、細胞外に排出される。
     糖尿病で、高血糖状態が続くと、細胞に流入するグルコース量が増加し、ポリオール代謝経路が亢進(
    アルドーズ還元酵素の活性が亢進)し、ソルビトールが、細胞内に増加する。他方、ソルビトール脱水素酵素(ソルビトールをフルクトースに代謝する酵素)の活性は、上昇しない為、ソルビトールが細胞内に蓄積し、細胞内浸透圧が上昇し、細胞内に水分が流入し、細胞が膨潤する。その結果、神経組織(神経細胞)の機能障害が生じ、細胞膜のNa+/K+-ATPaseが低下し、糖尿病性神経障害を起こす。

     高血糖状態では、アルドース還元酵素(aldose reductase:AR)の活性が亢進し、ポリオール代謝経路の亢進が起こり、細胞内にソルビトールやフルクトースが蓄積し、糖尿病性細小血管症が発症する。
     アルドース還元酵素の活性が亢進し、ポリオール代謝経路が亢進すると、細胞内にソルビトールやフルクトース(果糖)が蓄積し、浸透圧が上昇したり、Na+/K+-ATPaseが低下する。
     神経細胞膜のNa+/K+-ATPase活性が低下すると、電気的刺激伝導が遅れ、糖尿病性神経障害を来たす:知覚神経が障害されると、痛みやしびれ、熱感などの症状が現われ、自律神経が障害されると、めまい、立ちくらみ、発汗異常、胃腸障害、あるいはインポテンスなどの症状が現われる。
     アルドース還元酵素(AR)は、水晶体上皮細胞、網膜血管細胞、腎メサンギウム細胞、末梢神経のSchwann細胞に存在している。 

     酸化ストレスは、アルドース還元酵素が関与する、グルコースがソルビトールに変換される反応で、NADPHのNADPへの酸化を、亢進させる。

     5.糖尿病性神経障害と漢方薬
     漢方薬は、糖尿病性神経障害を治療効果を現す生薬がある。
     漢方薬は、糖代謝(血糖降下作用)、脂質代謝(脂肪分解抑制作用)、水代謝(利尿作用)などを改善し、糖尿病患者の神経組織(神経細胞)の代謝を改善し、糖尿病性神経障害に治療効果を現す。
     漢方薬は、血液凝固抑制作用、血小板凝集抑制作用により、血栓形成を抑制し(抗血栓作用)、糖尿病患者の神経組織の微小循環を改善し、糖尿病性神経障害に治療効果を現す。
     牡丹皮には、ペノールが含まれ、抗血栓作用がある。
     附子(注2)には、アコニチンが含まれ、鎮静作用がある(糖尿病性神経障害による、しびれ、疼痛、冷感を改善する)。
     芍薬には、ペオニフロリンが含まれる。
     甘草には、グリチルリチンが含まれる。

     糖尿病性神経障害は、ポリオール代謝経路の亢進(アルドース還元酵素活性の上昇)や、細胞膜のNa+/K+-ATPase活性の低下により、神経細胞機能障害が起こることが成因と言われる。
     八味地黄丸は、細胞膜のNa+/K+-ATPase活性を上昇させる。
     八味地黄丸、牛車腎気丸、疎経活血湯、桂枝加朮附湯は、アルドース還元酵素の活性を阻害する(赤血球等へのソルビトール蓄積を抑制する)。

     注1:糖尿病性網膜症(糖尿病網膜症)は、緑内障と並んで、中途失明の原因として、多い。
     原発開放隅角緑内障は、眼圧の上昇(21mmHg以上)の為、視神経乳頭陥凹が起きる。しかし、正常圧緑内障は、眼圧が上昇していないのに、緑内障性視神経乳頭陥凹が起きる。眼圧が正常なのに、視神経乳頭陥凹が起こる機序として、局所の循環障害(血行の悪さ)が、指摘されている。特に、傍乳頭網脈脈絡膜萎縮が、大きい程、正常圧緑内障の進行が早いと言う。恐らく、於血などは、局所の循環障害(血行の悪さ)を招いて、正常圧緑内障の発症に関連しているものと、推測される。
     スタチンを長期間(23カ月以上)使用している患者は、緑内障の発症率が40%減少すると言う。開放隅角緑内障は、房水の排出が障害されるが、スタチンは、房水の排出を促進すると言う(これは、高脂血症で増加する過酸化脂質が、房水を混濁させている為かも知れない)。また、スタチンが、血管の閉塞を抑制し、血流を増加させる(血行を改善する)と言う。




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    [ 2006/08/13 11:42 ] 内分泌・代謝 | TB(0) | CM(0)
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