咳・痰 看護学生嘆きの部屋

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    咳・痰






    咳・痰

    概論
     咳は、肺内の空気が気道を通じて有声爆発的に流れ出る状態であり、深吸入相、声門が閉鎖する圧縮相、及び声門が解放する呼出相の3段階の時期よりなる。基本的には、咽喉頭、気管支粘膜、さらには鼻腔、副鼻腔、耳管、胸膜、横隔膜、胃などにある咳受容体の刺激により求心性神経(三叉、舌咽、上喉頭、迷走、横隔神経)→延髄の咳中枢→遠心性神経(迷走、横隔、脊髄神経)→声門の閉鎖、呼気筋群の収縮により発生する。
     咳の原因診断にためには、解剖学的に上記の咳反射の経路のどこが問題となっているかを系統的に検索する必要がある。咳には、気道内での過剰の分泌物や滲出物の排泄を伴った湿性咳と、これを伴わない乾性咳がある。
     健常者においても期間。気管支、口腔喉頭、鼻腔、副鼻腔粘膜内の粘液腺や杯細胞からの分泌物や血管からの漏出物が1日約100ml程分泌され、知らない間に嚥下されたりして気道外に排泄されている。種々の原因によるこれらの分泌物の増加に、さらに、剥離した上皮細胞や細菌、ウイルス、粉塵などの気道内吸入物質が加わった混合物が痰である。従って痰は多くの呼吸器疾患に付随する重要な症状であり、その量、肉眼的所見、さらに細菌学、病理学、生化学的検索により呼吸器疾患の診断に不可欠の情報を提供してくれる。

    病歴からのアクセス

     咳:
     ①発生様式と経過:急性(突発性)発症か緩徐な発症か。一過性か慢性・持続性か。
     ②随伴症状の有無:痰を伴うか(湿性)、伴わないか(乾性)。胸痛、発熱、喘鳴、咽頭痛、嗄声等。
     ③誘因の有無:運動、気温変化、深呼吸、感情・ストレス。
     ④好発時期の有無:早朝、起床後、就寝後、仕事中、季節性。
     ⑤その他:喫煙歴。環境(住居、職場)の問題はないか。アレルギーの有無。家族歴。

     痰:
     ①肉眼的性状、色調、匂いの有無。
     ②量:蓄痰による1日痰量の測定。
     ③喀出しやすい時間、体位、患者自身による痰の出所の推定。
    主要症候からのアクセス
     ①突発性の咳の出現は気道内異物、自然気胸、急性肺塞栓梗塞を疑わせる。
     ②夜半~早朝に憎悪する咳は気管支喘息、肺水腫にみられ、起床時の咳、痰は気管支拡張症、慢性気管支炎で特徴的である。
     ③慢性の咳は慢性の後鼻漏による刺激、気管支喘息、慢性気管支炎などで多く、特に頑固な咳・痰は肺癌などの可能性に留意しなければならない。
     ④乾性咳は突発性間質性肺炎、サルコイドーシスなどの間質性病変の他、大動脈瘤や左房拡大など気道外からの圧迫によっても起こる。
     ⑤胸痛を伴う咳は、胸膜炎や自然気胸発生時にみられ発熱、赤血球増多、赤沈亢進、CRP陽性などの炎症所見を伴うときは、肺炎、肺化膿症などの急性炎症の存在を考える。労作時息切れを伴う場合は慢性気管支炎、肺気腫症、間質性肺炎等を考える。
     ⑥頑固な乾性咳に寒冷凝集素価上昇を認める場合は、マイコプラズマ感染症を疑い抗体価を測定する。
     ⑦アセチルコリンやメサコリンによる吸入試験による気管支喘息患者は有意に1秒以上の低下をみるが慢性気管支炎の一部でも同様所見のみられることがある。
     ⑧痰の量の増加は気道の感染が関与していることを示唆するが、特に気管支拡張症肺化膿症、慢性気管支炎、進行したび慢性汎細気管支炎、さらに細気管支肺胞上皮癌や気管支瘻を形成した膿胸等で多量の喀痰がみられる。
     ⑨痰の肉眼的性状により原因疾患の推定し得ることも多い。泡沫痰は肺水腫、漿液性痰は気管支喘息発作、細気管支肺胞上皮癌でみられることが多い。粘液性痰は最もよくみられるが半透明粘稠な痰で気管支腺や杯細胞からの過分泌による。膿性痰は細菌感染が加わると出現するが、好酸球が多いと一見膿様に見えることがあるのでH-E染色で確かめる必要がある。また肺化膿症では、同様H-E染色で痰中に弾力線維が認められる。
     ⑩痰は無色透明から種々の色調のものまで様々であるが、特に緑膿菌感染時には緑色ないしは黄緑色痰がみられ、また血液を混じた際の赤色、褐色痰が認められるときは、気管支拡張症、肺結核、肺癌はじめ慎重な鑑別が治療上からも重要である。
     ⑪痰は通常無色であるが、細菌感染が加わった膿性痰は生臭く、特に嫌気性菌感染時には特徴的な悪臭がある。
    臨床検査からのアクセス

     咳・痰の鑑別に必要な検査
     ①血算(白血球数、白血球分画、好酸球数、赤血球数、血色素、血小板数)、赤沈。
     ②血清学的検査:CRP,ASLO、寒冷凝集反応、蛋白分画、腫瘍マーカー、抗マイコプラズマ抗体価、抗ウイルス抗体価、免疫グロブリン、RAST(特異的IgE抗体価)。
     ③痰の細菌学的検査、細胞診、好酸球数。
     ④胸部・副鼻腔X線写真、断層写真、CT。
     ⑤一般呼吸機能、アセチルコリン吸入試験等による気道過敏性検査。抗原吸入試験。
     ⑥気管支ファイバースコープ(生検、擦過細胞診。洗浄液培養・細胞診・細胞分画)。 ⑦気管支造影。
     ⑧肺血管造影、血流・換気シンチ。
     ⑨胃X線。

    診断の確定へ
     ①急性上気道炎・気管支炎、かぜ症候群(疾患偏p.116参照):
     a.急性~一過性(2週間以内)の咳・痰がみられる。
     b.咽頭痛、鼻閉、鼻汁、発熱、倦怠感を随伴する。
     c.白血球増多(ウイルス性では正常~減少。)CRP陽性、赤沈亢進・A HREF="imd00220.html">AASLO価上昇、抗ウイルス抗体価上昇が認められる。
     ②肺炎(疾病偏p.122参照):
     a.胸部X線上区域性の浸潤像が認められる。
     b.湿性咳嗽が主で膿性痰がみられることが多く、培養で病原菌を同定しうる。
     c.聴診上湿性ラ音がX線上の陰影に関連して聴取する。
     d.発熱、白血球増多(ウイルス性及びクラミジア肺炎では正常~減少)、赤沈亢進、CRP陽性などの炎症所見がみられる。
     e.マイコプラズマ肺炎では頑固な乾性咳が続き、理学的所見に乏しいことが多い。寒冷凝集素価上昇、抗マイコプラズマ抗体価上昇を認める。
     ③慢性気管支炎(疾患偏p.117参照):
     a.朝起床時に多い慢性あるいは反復性の湿性咳が1年に3カ月以上かつ2年以上みられる。
     b.気管支造影上、両側に広範囲にみられる壁不整像。
     c.臨床症状より診断されるため他の心疾患の除外が重要。
     ④気管支喘息(疾患偏p.118参照):
     a.夜半から早朝に強い発作性の喘鳴、咳、呼吸困難を認める。
     b.アセチルコリン吸入試験での気道過敏性の証明、気管支拡張剤での可逆性の証明。
     c.アトピー歴、感作アレルゲンの証明、血中総IgE高値。
     d.喀痰中に好酸球、Charcot-Leyden結晶、Curschmanラセン体を認める。
     ⑤突発性間質性肺炎(疾患偏p.128参照):
     a.乾性咳と労作性息切れが主症状。
     b.呼吸機能上拘束性障害を示す。
     c.胸部X線上、両側肺野の粒状網状影、すりガラス様陰影から始まり、肺の縮みを伴う。進行例では蜂巣状肺となる。
     d.肺生検(TBLBまたは開胸肺生検)で診断。
     ⑥肺癌(疾患偏p.126参照):
     a.胸部X線上腫瘤を認める。
     b.喀痰細胞診、気管支鏡下での生検、擦過・洗浄液の細胞診で組織型
    診断。
     c.血中腫瘍マーカー高値。
     d.細気管支肺胞上皮癌では多量の水溶性痰を喀出する。
     ⑦び慢性汎細気管支炎(疾患偏p.121参照):
     a.高度の閉塞性障害を示す。
     b.胸部X線上肺過膨脹所見とび慢性小粒状陰影が認められる。
     c.進行すると頑固な気道感染症、インフルエンザ桿菌や緑膿菌の感染を合併し、多量の喀痰がみられる。
     ⑧肺気腫症(疾患偏p.130参照):
     a.呼吸機能上高度の閉塞性障害(FEV1.0%55%以下)及び浅気量増大(RV/TLC40%以上)を認め、労作時呼吸困難を訴え進行性である。
     b.胸部X線上、過膨張所見を認める。
     ⑨肺結核症(疾患偏p.124参照):
     a.X線上後部上方を好発部位(S1,2,S6等)とする陰影の存在。しばしば空洞化を伴い主病巣周辺に撒布を認めることが多く、石灰化巣を伴うことが多い。
     b.ツ反陽性が参考となる。
     c.痰の塗沫・培養で結核菌陽性で確定診断をつける。
     ⑩気管支拡張症(症候偏p.120参照):
     a.多量の膿性痰を伴う慢性の咳。血痰、喀血、局所性反復性肺炎をしばしば併発する。 b.気管支造影で確定診断をつける。

    鑑別すべき疾患
     1.急性上気道炎、気管支炎、かぜ症候群。2.肺炎(細菌性、マイコプラズマ、ウイルス)。3.慢性気管支炎。4.気管支喘息。5.突発性間質性肺炎。6.肺癌。7.び慢性汎細気管支炎。8.肺気腫症。9.肺結核症。10.気管支拡張症。11.気管・気管支異物。12.肺化膿症。
    13.急性肺塞栓症。14.胸膜炎(癌性、結核性他)。15.自然気胸。16.肺水腫。17.過敏性肺炎。18.塵肺。19.サルコイドーシス。20.誤嚥性肺炎。21.肺真菌症。22.気管支腺腫、カルチノイド。23.胸膜中皮腫。24.ARDS。25.慢性副鼻腔炎。26.縦隔腫瘍。27.大動脈瘤。28.鼻ポリープ・鼻石。29.外耳道の耳垢・炎症・湿疹。30.心因性咳。その他種々の原因がある。


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    [ 2012/12/02 12:00 ] 病理学 | TB(0) | CM(0)
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